小さな冒険日記

青春時代を記録したものです。

ローマ 2007/12

 

パリを立ってから約1時間半、ローマのフィウミチーノ空港(通称レオナルド・ダビンチ空港)に到着。空港内でやや迷いながらも、鉄道駅に着き、切符を買ってレオナルドエキスプレスに乗り込む。約30分でローマの鉄道の中心、テルミニ駅に着く。まずは荷物を置くために予約済みのユースホステルに直行する。アレッサンドロ・ダウンタウンというホステルで駅から2,3分という最高の立地条件だった。部屋は8人部屋だが、きれいだしパリのホステルよりはマシのようだった(値段もこっちの方がやや高い)。荷物を置いた後はテルミニ駅構内を歩いて回った。スーパーマーケット(CONAD)があったので、非常に便利だと思った。オレンジとお土産用のインスタントリゾットを買った。その後、セルフレストランに入った。いわば食堂みたいなもんかな。時間が遅かったこともあり、パスタが冷めていたが、テーブルでゆっくりできるのは良かった。食後はさっきスーパーで買ったイタリア産オレンジを2個も食べつつ、地球の歩き方を読んでのんびり過ごした。

 

翌朝、ルームメートのゴソゴソする音で目が覚めた。結局パリとローマの滞在中、目覚ましは一度もセットしなかった。誰かが起きると勝手に目が覚めるから、9時や10時まで寝過ごすということがないからだ。朝食は、一応コーンフレークが置いており、パンもそこそこおいしかったので、ローマでは朝食をホステルで食べていくことに決めた。ホステルを出てからは観光案内所に行って、とりあえずローマパスというものを買った。これは地下鉄・バスが3日間乗り放題で、ローマの見所2箇所に入場できるというチケットだ。しかし、その後どこへ行けばいいのかと途方にくれた。ローマはほとんど研究していなかった。それにどうも頭の調子が悪く、やる気がしない。パリで全力で観光したので、その疲れが出てきているのかもしれないなと思った。駅周辺で1時間近くダラダラした後、とりあえずテルミニ駅周辺の見所でも押さえようと決めた。まずは近くの教会に入り、その後、ローマ国立博物館に入った。ここでローマパスを使った。古代ローマの彫刻ばかりが展示されていた記憶がある。すばらしいのかもしれないが体のパーツ(鼻、指、ペニスなど出っ張った部分)が欠けまくっているので、なんとなく私にとっては物足りなさを感じた。その後、サンタマリア・マッジョーレ大聖堂に行って、その後はまたどうしたらいいのか途方にくれた。気だるさを感じながら何も考えず、とりあえず有名どころのトレビの泉に向かってぶらぶら歩いた。トレビの泉は大勢の観光客で賑わっていた。肩ごしにコインを投げるという俗っぽいことも一応しておいた。その後、パンテオンや3つの噴水があるナヴォーナ広場を見て回った。それからローマ博物館アルテンプス宮に入って、また古代ローマの彫刻を見た。やはり体のパーツが欠けているが、体の曲線は完璧に彫られているのはすごいと感じた。ローマの町をブラブラ歩いていて思ったことは、まず細い路地がたくさんあってなんか迷路みたいになっていることと、噴水がやたらに多いこと。それからローマって面積的にかなり小さな町だなって感じた。地下鉄やバスを使わずとも観光ができるなと感じた。あとは治安はかなり良いと思う。なぜなら観光客がいそうなところには必ず警官が立っているから。ローマの雰囲気ははなんだか平和すぎる感じがして、家族旅行に向いているなという印象を持った。晩は地球の歩き方に載っているレストランに入った。お得な定食を頼んだが、ナイという。WHY?ときくとFINISHED.という答えが帰ってきた。まだ開店して30分しか経ってないはずなんだがと疑問には思ったが、まあ仕方ないので一品ずつ頼んだ。スープとパスタを注文して食べた。日本人であふれかえっていたが、味・値段ともに悪くないので明日も来ることにしよう。

 

 

 

2日目はバチカンに行ってきた。開館時間の9時より20分早めに並んだが、すでにバチカン宮殿の行列はすごかった。だが、並んでいる間ガイドブックを読んで翌日の予定などを立てれたので、退屈はしなかった。結局2時間待った。(後で分かったのだが、なぜか開館時間は10時だったようだ。)宮殿内部はやたらに人が多かったのでなんとなく落ち着いて見ることができず、はっきり言ってつまらなかった。有名な「最後の審判」はかなりでかくて驚いたが、あまりの混雑でろくに見る気がしなかった。宮殿内にあるピザ屋でピザ一切れを買って食べた。宮殿を出た後は、サンピエトロ大聖堂の中に入った。あまりに大きな大聖堂で驚いた。入り口すぐの右側にミケランジェロ作の「ピエタ」がある。磔刑に処されたのちに十字架から降ろされたイエス・キリストと、その亡骸を腕に抱く聖母マリアを表している彫刻なのだが、私はどうもこの作品が好きだ。どう好きかと言われると、どう表現したらよいか分からないが。サンピエトロのクーポラに上りたかったが、ものすごい行列だったので断念した。その後、地下鉄に乗り、有名どころの一つであるスペイン階段を訪れた。ちょうど夕陽が地平線に沈むところだった。その後、夜景を見るために近くにあるピンチョの丘まで歩いた。夜景の中に浮かぶサンピエトロ大聖堂(maybe?)がきれかった。夕食は昨日と同じ店に入った。定食を頼んだが、やはりないという。今日は開店してすぐなのに。定食は見せかけメニューだと分かった。しかも昨日と同じように、「カラフ(水道水)をくれ」と言ったら、ダメだといわれた。イケズだなとかなり気分を害した。スープとリゾットを注文して食べた。「チェック、プリーズ」と言って勘定書をもらった時、悪徳レストランだと確信した。リゾットの値段が違う。1ユーロ高い。サービス料も昨日より0.5ユーロ高い。だましやすい日本人のガキだと思ってなめんなよと思って、「これは違う。メニューをもう一度持ってきてください。」と拙い英語で言った。そして持ってきたメニューで確認すると、やはり違っていた。サービス料も1ユーロに書き換えていた。たった1.5ユーロだが、騙されなかったことに自信を持った。ただ観光客相手に騙すというのは、残念なことだと思った。レストランで注文する際には、必ずメニューの金額をしっかり覚えておくことが必要だと学んだ。

 

 

3日目はまずコロッセオから始まった。ローマパスを使った。その後、パラティーノの丘に登った。そしてフォロロマーノ。それからヴィットリアーノに登った。その後、シテ島の周りを散歩した。橋の下の影では、男と女が横になってチューチューしている。夜だったら、服を脱いで事を始めそうな勢いだ。次にお決まりの「真実の口」を訪れて、記念撮影(20分くらい行列で待った)した。ちなみに十字軍騎士団団長の別荘の鍵穴はおすすめ。鍵穴を覗き込むと、うまい具合にサンピエトロ大聖堂が中央に見える。その後、歩いてローマ一番のパノラマが得られるらしいジャニコロの丘を目指す。暗くなりつつあったので急ぎ足だった。丘の頂上のガリバルディー広場からの展望はさほどではなかった。ローマの町の明かりが弱いからかもしれない。夜景はパリの方がきれいかった。暗闇の中、そこらじゅうでカップルがチューチューしている。ローマは想像以上に治安が良いと思った。夕食はもちろん昨日とは違うレストランに入った。比較的大きなレストランで味もおいしく、値段も手軽な定食を食べることができて満足した。最初からガイドブックに頼らず、このレストランに入っていれば良かったと思った。いい気分でテルミニ駅をうろついているとサンタさんの格好した人がノートやらメモやら配っている。通行者はみんな立ち止まってそれらをもらおうと群がっている。私ももらおうと、「プリーズ」と言ったら、観光客の私にもくれた。ビニールのバックも配っていたのだが、それはみんな欲しがるので競争率が高かった。30分くらい粘ったが、結局手に入れることはできなかった。バックユースホステルに戻ると同じ部屋に、ロンゲの日本人の男2人組がいて話かけてみた。今まで7ヶ月間世界中を旅して回っているらしい。世界一周航空券というのがあって、三十数万円で最大20回飛行機に乗れるらしい。かなりお得に感じた。長期放浪の旅は、うらやましいが、大変そうに感じた。

 

 

最終日、もう行くところがなくなったので、アッピア旧街道を歩くことにした。ずっと石畳が続く道だ。ランニングしている人にたくさん出会った。車の通行が想像以上で厭になったが、チャーチリア・メッテラの墓を越えたところでやっと車の通行のない細い道になった。なんともローマの田舎を感じることができて気持ちよかった。ランニングしている人を見ていると気持ちよさそうで、自分もちょっとだけ走ってみた。アッピア街道を走る観光客などそんなにいないだろうよ。バスを待っている間、日本人がいて、どこで降りたらいいのか困っている様子だったので教えてあげた。新婚旅行でローマに来たということだった。その際、ローマ水道橋がよかったですよという情報をもらった。だが地球の歩き方にはのっていないので、行き方を口頭で詳しく教えてもらった。そしてバスを降りて2人と別れて水道橋に向かった。言われたとおりに行ってみると大きな遺跡が見えてきた。すごい広い原っぱが続いていた。趣のある水道橋があり、牧場があり、散歩には最高の場所だった。おまけに付近には列車が通っており、しかも飛行機の通り道で真近に飛行機をみることもでき、飽きない草原であった。教えてもらえてラッキーだったなと思った。今まで海外で日本人を見ると避けてきたが、親切に話しかけてみるといいこともあるもんだなと勉強になった。水道橋を後にして、ラテラーノ大聖堂に行った。歩きつかれたせいもあって、内部で数十分うとうとした。それから隣にある「聖なる階段」を登った。これは28段の階段をゆっくり時間をかけて膝で登るものだ。意外にも膝が無茶苦茶痛く、これは一種の修行なのだなと分かった。これで私のローマの休日は終わったのだった。フィウミチーノ空港でチャックインしているとき、エグゼクティブクラスの搭乗券を渡された。どうやら空いているから座らせてくれるようだ。超ラッキーだ。空港内のセルフレストランでおいしいラザニアとティラミスを食べていて、本当に幸せだなと感じた。エグゼクティブクラスの搭乗券は、ちょっとだけ遅いサンタさんの最高のプレゼントだなって思っておかしくなった。そしてローマを午後9時飛び立った。やはりエコノミークラスと違って、エグゼクティブクラスはかなり快適でよく眠ることができた。

 

そして31日夕方、成田に到着した。(どうでもいいことだが、成田で桂南光を見かけた。国内線のチェックインしようと並んでいるときに、真後ろからなんか聞き覚えのある声だなと思って振り向いたら、南光が家族といっしょにいた。帽子をかぶっていたが声と顔ですぐに分かった。大阪行きの同じフライトに乗っていた。搭乗を待っているときに他のだれも気づいていないのが不思議だったが。)成田を出発するとすぐに伊丹に到着した。伊丹空港への着陸の際、夜景が最高にきれいで感動した。これほど美しい夜景の見れる空港は世界中にほとんどあるまい。こうして私のヨーロッパへの旅は終わった。また就職活動と海外旅行に明け暮れた私の2007年も終わったのだった。