小さな冒険日記

青春時代を記録したものです。

マレー半島 2009/9

 

(準備)

今回の旅行は、出発前から一悶着あった。まず、今年は9月に5連休(シルバーウィークと呼ばれてる)があるので、有給休暇を1日分付加して6連休で、大好きな東南アジアに行こうと企てた。そんな時期の航空券はべらぼうに高くなるのが常なので、早めに安めの航空券を取った。)その後、会社の上司に休暇を申請する段階になって、上司に承認されないという事態に・・・。確かに多少叱られることは覚悟していたが、ここまで散々怒られるとは思わなかった。私の徹底抗戦もあり、なんとか最終的には承認をしていただいたが、精神的に苦しんだ。上司には迷惑をかけて悪かったなという気持ちもある。

さて、そこまでして行きたかった場所というのは、マレー半島周遊。航空券は、ANAのサイトでトータル45000円ほどでシンガポール往復便を取ったのだった。シンガポールからクアラルンプール(以下、KL)まで往復する旅程に決めた。

 

1日目。

前日に仕事でトラブルが発生して、その対応に追われて夜10時まで働き、その日の朝も激務であった。体がくらびれきった状態での最悪な出発となった。17時半のフライトで、機内で爆睡できるかと思いきや、あまり眠れず疲れは取れなかった。シンガポールに着いてからは、12時を回っていたため公共交通機関が終わっており、仕方なしにタクシーでホテルに向かった。深夜割増(50%)料金で、1500円の出費である。

 

2日目。

朝はゆっくり寝たかったが、イマイチよく眠れず、起きて行動開始。マーライオンとか、アジア民族美術館とか回った後、12時半にfairmount ホテルへ。ここのハイティで、ネットで知り合ったシンガポール人と会う約束をしていたからだ。仕事の繁忙のため、電話番号を書いたメモを忘れてきてしまったため困った。結局はハイティカフェで予約名簿に名前が載っていたため、電話をしてもらい、出会えることができた。30歳の女性スーアンさんで、私が東京に帰った次の週末に、東京を案内するという、いわば相互観光ボランティアみたいなもんだ。そこのハイティは、単なるホテルのブッフェランチという感じで、味も雰囲気もイマイチであった。その人の分もおごってあげたので、到着早々5000円と痛い出費と相成った。その後、セントーサ島へ。まずマーライオンタワーへ行ったが、高いだけでたいしたことは無い。その後、ビーチ沿いを歩いて、水族館へ。チケットは水族館とイルカショーセットになっていて、水族館よりイルカショーの方が閉まる時間が早いということで、無料バスに乗ってイルカショーにまず行く。そこでイルカショーを30分ほど見た後は、再び水族館に戻った。水族館には日本ではあまり見られないような生物がたくさんいた。その後はナイトサファリに行くことになっていたが、すでに時間が遅かったこともありタクシーを使った。ナイトサファリはなかなか良い。真っ暗な中、ジャングルを歩いているような感じで、なかなか素晴らしいと思う。ただ、そのころの私はくたびれきっていて、もはや帰って休みたい気分であった。頭が完全に麻痺したように回らず、英語は全くしゃべれない上に聞き取れない・・・。しまいにはスーアンさんがなけなしの知識で日本語で無理して伝えようとしたので、私は大変情けない気持ちになり、申し訳なく思った。明らかに仕事の疲れが取れておらず、今の仕事に腹が立った。ナイトサファリは深夜12時まで開いているが、結局閉園時間ぎりぎりまでおり、夕食もそこで12時半くらいに食べた。バスはもはやないので、再びタクシーでホテルへ帰った。

 

 

3日目。

睡眠時間は4時間半ほどで疲れはとれないが、8時発マラッカ行きのバスに乗らなければいけない。バスは日本で予約しており、38Sドルとそんなに安くないが、広々した車内は豪華そのもの。マラッカまでの4時間は快適な時間であった。ここで国境越えについて説明しておく。まず、コーズウェイ橋の手前で、バスから降ろされ、シンガポールの出国手続をする。その後バスに乗りこみ、橋を渡った後は、再びバスから降ろされ、今度はマレーシアの入国手続を行う。今回は荷物もチェックの為、バスから降ろさなければいけない。それで国境越えは終わり。マレーシアに入ってからは、シンガポールでの風景とは打って変わって、ひたすら南国植物が生い茂る草原を突き進む。時折小さな川なども渡り、なんとものどかな風景であった。マラッカには、12時過ぎ頃、ホテルエクアトリアルに着いた。荷物をどこかに預けなければならないので、ためしにそのホテルで預かってくれるか聞いてみたところ、あっさりOK.これでマラッカでの不安要素1は解決。さて、不安要素2であるが、それは両替。その日はハリラヤという祝日で、日本でいうところの元日に相当する。つまり街中の両替所は閉まっている。まずはショッピングモールを2つ回ってみるが、ともに両替所閉まっているとの回答。望みを託して観光案内所で聞いてみるが、明日にならないとどこも開いていないとの回答。絶望的に気持ちになったが、ホテルならあるであろうと重い、2件目(ホテル・プリ)で実際に両替ができた。レートもそんなに悪いとは感じなかった。さて、観光開始だというところだが、観光箇所は軒並み閉まっている。バスガイドさんが、本日はハリラヤなので、ALL CLOSEDと言っていたが、まさにその通りであった。無料のサンチャゴ要塞以外はどこにも入れなかった。1日でもずれていたら開いていたのに、つくづくオレはついていないな、と思った。そんなことで、観光は短時間で終了。おなかが空いたので、ショッピングモール内のフードコートでチキンライスを食べた。チャイナタウンでマラッカ名物のおにぎり型チキンライスは長い行列の為、食べれなかった。しかしここで食べたチキンライスは、チキンのクオリティがかなり高く普通においしかったので満足した。その後、まだ時間が十分あったので、カルフールでおみやげ物をぶらぶらして見て回った。これは、というものはなかったが、とりあえずばら撒き用のチョコレートとキャメロンハイランド紅茶を買っておいた。さすがにもう行くところがないので、ホテルに戻り、荷物をピックアップ。マラッカバスターミナル(マラッカ・セントラルという)までバスで行くつもりであったが、ホテルのお兄さんがバス停まで遠いから、タクシーで行けと言われた。15リンギット(=500円未満)であったので、まあいいかと思った。バスターミナルでKL行きのバス(transnational)を買おうとするとカウンター近くに立っていたお兄さんが、「バスはこっちだ、おいで。」と言われたのでついていってバスに乗って、お金を払った。しかし、チケットをくれない。しかも乗客はまだ誰もおらず怪しい雰囲気を感じた。チケットを渡せといっても、運転手だから大丈夫だというが、証拠もないので、やっぱり返せと言って返金させた。そしてチケットカウンターでチケットを買った。結局のところ、確かに運転手はその強面の兄貴で、問題はなかったということだが、あの状況下では疑わざる終えない。ひょっとすると、インドのせいで、まだ人を信じられない気持ちが残っているのかもしれない。実際、会社に入るお金をちょろまかす運転手であったのかもしれないが。2時間ほどでバスは停車する。道路標識に「KL ●km」とありもう少しだなと思っていると、突然停止して、「終点です、降りてください」というから驚いた。ここからどうやってKL中心部にいけばいいのかと辺りをさまよっていると、「ちょっとおいでよ」と食事中の人らが合図をしてきた。そちらに向かうと、彼らと話をしていると、まだここはKLではなく、バスに乗って中心部まで行かねばならぬということが分かった。その後、バスのスタッフがこのバスに乗ればいいと教えてくれたので、無事KLの中心地にあるプドラヤバスターミナルにまでたどり着くことができた。ただ、そこから今夜の宿泊場所(pondok lodgeというホステル)のあるブキビンタンまでがどうやっていけばいいのか分からなくて、タクシーに乗るのも悔しいので、1km以上の距離を歩いてたどり着いた。その後、チェックインして荷物を置いた後は、夜の街に繰り出した。「すしキング」という日本食チェーン店で定食を食べた。ここKLは、街中がきれいし、レストランもたくさんあるし、ショッピングモールもたくさんあるし、物価の安い割には洗練されている。この街に私はいつか住みたいと思った。さて、ホステルの部屋に戻ると、愕然とした。ものすごい騒音。建物自体が振動しているほどの騒音。ナイトクラブが真下にあるに違いない。フロントに行って、部屋を変えてくれというも、部屋が無いと言う。通常は1時半くらいに終わるから我慢してくれと言われ、いったん引き下がるが、半端無いうるささであるので、本当に1時半に終了するのかも不安だったので、部屋を変えてくれと再度言いに行くと、ドミトリーに寝ても良いというので、しぶしぶそちらに移動した。そこはまだましだが、それでもまだ騒音は聞こえていた。

 

 

4日目。

朝起きて、朝食を食べた後、チェックアウトした。本来2泊の予定だが、こんな場所にはもはや泊まれないと思ったからだ。宿の人が静かな部屋があるからもう1泊しないかというので見せてもらったが、それでも多少は音漏れするであろうと思われたので、やっぱり止めた。その後、すぐ近くの格安ホテルであるcomfort in というところに行って予約した。その際、地球の歩き方を手に持っていたので、10%割引してくれた。なかなか良いホテルのようだった。さて、観光開始であるが、まずは観光オフィスを訪れた。クアラスランゴールの蛍観賞ツアーを申し込む為である。15時から23時のツアーで、190リンギット。15時くらいにここへ来れば、ドライバーが呼びにくるということらしい。15時まで5時間くらいあるので、ちょっと遠くのバトウ洞窟というヒンドウー寺院に行くことにした。LRTの駅からローカルバスに揺られること30分。洞窟に到着。長い階段を暑い中ぜいぜい言いながら登ったところに洞窟がある。なかなか良い感じで来た甲斐はあったと満足。再びKL中心地に戻り、KLCCのフードコートで焼きそばを食う。これもまた普通においしくて、マレーシアの飯は日本人の口に合うと思い、ますますマレーシアに住みたい気持ちが高まった。程よい時間になったので、観光センターに戻る。15時になっても、誰もうんともすんとも言わないので不安になって受付の美人のお姉さんに聞いて調べてもらっている途中にドライバー登場。おせえよ!まだそろっていないので、しばし待ってくれと言われ、待つこと40分ようやく出発。全部でツアー客は5人で、内4人が日本人である。35歳くらいの女性と、30歳くらいのカップルである。車はワゴン車で、ガタガタの道をぶっとばすので、みんな頭が揺れまくりである。第一の停車場所はムラワティの丘である。ここは、展望がいいと言われているがまあ普通で、それよりはあほほどいる猿を眺めているほうが楽しかった。1時間の自由時間があったが、そんなに時間は必要ないのでやや退屈。その次の停車場所は、シーフードディナーである。大勢の人で賑わっていて、料理もまあまあイケた。みんなでわいわい話をしながら食べた。最後の停車場所は、蛍観賞のスランゴール川である。長い行列の為、30分以上待たされ、ようやくボートに乗り込むことができた。ボートは15分くらいで川の蛍生息地を回る。地球の歩き方に書いてあるように、クリスマスのイルミネーションみたいで、木々にくっついている多数の蛍が小さな光を放っていた。確かに幻想的な雰囲気で、良い経験ができたとみんなで喜んでいた。その夜は、ホテルを変えたので、静かに安眠することができた。

 

 

5日目。

この日は、2年来の文通友達に会うことになっていたのだ。名前はサラで、22歳の女の子。私はたくさんの人とこれまで文通してきた。大概は途中で終わってしまうのだが、なぜかこの人とは相性が良いのか、今まで続いてきた。だから、実際に会ってみたいと思ったのだ。朝8時にKLセントラル駅で待ちあわせした。8時過ぎになって、背の小さな女の子が登場。お互いすぐに分かる。ムスリムだから、スカーフで頭は隠している。まずは朝早いこともあり、朝食を駅構内のレストランで食べる。そこで、「初めて会うのにお互いのことをよく知っていて、変な感じ」とかいう他愛もない話をする。食べ終わってからは、レイクガーデンに行く。国立博物館で散策した後、国立プラネタリウムとマレーシアイスラム美術館に行ったが、ともに祝日ということで閉まっていた。最後に国立モスクに行ったが、こちらは建物の中に入れた。その後、歩いてムルデカスクエアまで行く。マレーシアもやはり暑い。マスジット・ジャメに入りたかったが、やはり祝日ということでムスリム以外の入場を断られる。それからサラに連れられるままに、インド人街を抜けて、そごう(百貨店)へ。日本食レストランでランチを食べようと約束していたので、サラが日本食レストランを調べてくれていたのだった。眺めの良い窓際の席で日本食を楽しんだ。お腹がいっぱいになったところで、今度はセントラルマーケットに向かった。セントラルマーケットには骨董品などおもしろいものがたくさんあり、私はもっとゆっくり見たかったが、サラが足が痛いと行っていたので、さっさと切り上げた。まだ時間があるので、KLタワーに上ろうかということになった。KLタワーは38リンギットとガイドブックに載っている値段よりかなり上がっていたが、まあ仕方ない。ただ、登るだけでなく、小さな動物園にも入れ、ポニーにも乗れ、レーシングシミュレーターもでき、アトラクションが満載だったのでよしとしよう。もう帰ろうとしたが、外国人たちがロープアドベンチャーで楽しんでいるのを見て、サラに「これやりたい?」って聞いてみた。「NO、高いから。」30リンギットで約900円くらい。確かにマレーシア人にとっては3000円くらいの価値にあたるので高いであろう。実際、外人しかこのアトラクションを楽しんでいるのは外人ばっかりで、マレーシア人は誰もやっていなかった。私は別にやりたいとは思わなかったが、日本人にとってはたいした金額ではないからサラに経験させてやりたいと思い、「やろう」と言った。実際はリンギット現金切れでサラに60リンギット借りることになった。2回も空中散歩することができ、スリルがあり楽しめた。その後、ビキビンタンの両替所で両替してお金を返そうとしたが、サラは10リンギット札だけ受け取って、50リンギット札を断固として受け取らない。「朝食も昼食も他も全部おごってもらったから、今回は私のおごりよ。」仕方ないから、別れ際にリンギットが余っても仕方ないからと言って、後でまとめて渡してやろうと思ってその場は引いた。ビキビンタンのホテルで荷物を回収してから、KLセントラルへ一緒に向かう。そこでチキンライスのディナーを食べて、とうとうお別れ。余ったお金だけじゃなく、鍵に付いていたぬいぐるみのキーホルダーとか、いろいろあげたら喜んでいた(と思う)。そして改札口でお別れ。握手を求めたら、はずかしそうにちょっと手を出してすぐ引っ込めてた。お互い最後まで手を振っていた。なんか頼んないし、大丈夫かなとついつい心配したくなる妹みたいな人でだった。シンガポール行きの列車に乗ってから、もう2度と会うことはないんだろうなと思い、なんとなく寂しくなって涙が出た。北朝鮮の離反家族の気持ちに近いかな、なんてよく分からんことも思ったりした。涙が出るなんて疲れているのかなと思った。

 

 

6日目。

早朝、寒くて目が覚めた。冷房効きすぎ。ジョーホールバルに停車した後は、国境のマレーシア側で停車し、検査官が車内に入ってきてパスポートをチェックして回った。その後、シンガポールに入ってからは、全ての荷物を持って車外へいったん出て、入国手続をした。終わった後は、再び車内に戻り出発。8時半にシンガポール駅に到着。そこから歩いてスーアンさんのオフィスに向かう。荷物を預かってもらうことになっていたのだ。スーアンさんに再会して、荷物を預かってもらった後は、すぐ近くのマクスウェルフードコートで一緒に朝食を食べる。スーアンさんに任せて出てきたのが、お粥とさしみで、これがまたおいしかった。シンガポールとマレーシアは飯がうまい。スーアンさんと別れた後は、仏教寺院や美術館を回って、お腹が空いたらショッピングモールのフードコートでミーゴレン(やきそば)を食ったり。何もやることがなくなってしまったので、午後は涼しいショッピングモールをぶらついたりして過ごした。6時半にスーアンさんのオフィスに戻り、弟さんとその彼女と一緒に4人でイーストコーストフードコートにチリクラブ(蟹)を食べに行き、その足で空港まで送っていただいた。スーアンさんとは東京での来週の再会を約し、空港で別れた。空港ではシャワールームがあることを知っていたので、そこで丸二日分の体の汚れを落とした。23時半のフライトに乗ってこの旅を終えた。翌日は、さっそく午後からうっとおしい会社に出勤したのだった。