小さな冒険日記

青春時代を記録したものです。

パリ 2007/12

 

ユーロスターでロンドンからパリまで2時間半。残念ながら通路側の席で車窓を見ることができなかったので、売店のあるサロン車両で立ってぼんやり車窓を見て過ごした。売店でヨーグルトを買ったが、非常にまずかったのを覚えている。イギリスとフランスには時差があるので、車内で時計を1時間早めた。パリ北駅に着いたのは17時半。目的地に到着するには最適の時間だと思う。駅で突っ立って、ガイドブックを読んでいると酔っ払った浮浪者が絡んできて、パリの第一印象は悪かった。切符を駅員から買って、ユースホステルに向かう。パリで4日間泊まるのは、メトロのLedruRollin駅にあるオーベルジュ・インターナショナル・デ・ジュンヌという長ったらしい名前のユースホステルだ。ユースホステル初体験だったので最初は緊張した。部屋に入ると、荷物だけがありまだ誰もいなかった。3人部屋だと分かった。とりあえずスーツケースを置いて、レストランを探すべく外に出た。バスチーユ広場辺りまで行って手頃なレストランを探したが、なかなかフランス語のメニューも分からず苦労した。結局1時間以上ぶらぶら歩いた後、ユースホステルのそばにあるピザ屋に入った。ピザなら安心だし、値段もたしか7ユーロだったような気がする。入って、ノーマルのピザとミネラルウォーターだけを頼んだ。想像以上においしく、これは当たりだなとうれしかった。その後、ホステルでまったりと本を読んだ後、眠りかけたころにアジア人2人が入ってきた。Helloと挨拶したのち、お決まりの会話で台湾人と香港人だと分かった。気さくに話しかけてくれるので、楽しくなってたくさん話をした。途中でその2人の連れの女の子が1人、2人と入ってきて、さりげなくだがイチャツクのが軽く厭だったが。

 

翌朝、タイマーをセットすることなく、8時頃目覚めて行動開始。あんまり眠れなかったが、まあテント泊に比べると充分だ。出かける用意をして朝食に向かう。朝食は堅くて古そうなまずいパンと不衛生そうなチーズと安っぽそうな紅茶やコーヒーだけだ。明日からはここで朝食を食べるのはよそうと決めた。ホステルを出てまずは地下鉄で3日間のフリーパスを買わなければいけない。窓口で買おうと思ったら、フランス語で係員がフランス語で何らやまくしたてるようにしゃべる。こっちが理解していなくてもお構いなしだ。英語のひとかけらも知らないらしい。どうやら券売機で買えと言っているらしいことがやっとわかった。だが券売機は紙幣が使えない(?)ことが分かり、クレジットカードで試みるもダメだった。係員にコインに両替してくれと頼んだが、ダメだと怒ったような表情で言う。仕方なく近くの雑貨店を探し出して、必要もないフルーツソフトキャンディーを買ってお金をくずした(だが、この飴は結構後の旅に重宝した)。30分以上費やしてやっと目的の物が買えた。その後、まずは観光案内所に向かう。地下鉄を降りて地上に出るためにエレベーターに乗ったのが間違いだった。途中で止まったのだ。他にフランス人が2人乗っていて、対処してくれたのは助かったが、30分近くロスした。おまけにやっとたどり着いた観光案内所もなぜか閉まっていた。なんてついていないんだというか、なんてフランスっていい加減なんだと厭になった。結局その後ルーブル美術館に向かった。そこで、ミュージアムパス四日間を購入した。ルーブルは馬鹿広かった。しかし、絵画、彫刻、古代文化財など様々なものが展示されていてこれは世界最高の美術館であろうと思った(古代文化財しかない大英博物館なんか屁みたいなもんだ)。その中でも特によかったのが、大理石で彫った彫刻だ。肉体の曲線が実にリアルでスタイルがいい。まったく違和感がないので、素晴らしいと思った。特に女性の彫刻は官能的に感じた。それから2階の絵画コーナーでは「ナポレオンの戴冠式」。これは世界史の教科書などに載っているが、想像以上にかなりでかいのには驚いた。モナリザはめっちゃ小さいし、柵がしていて遠くからしか見れないし、おまけにガラス張りになっているのでちっともおもろなかった。時間はまだ2時くらいだったが、ずっと美術館に篭っているのも疲れてきたので、ルーブルを後にした。結局1階を全て見た後、2階の途中までしか見れなかった。絵画が好きなので、2階、3階の絵画コーナーから回れば良かったなとちょっと思う。その後、ノートルダム大聖堂を訪れた。聖堂の内部に入った後は、いったん外に出て塔に登った。塔に登るには行列ができていて30分以上待たされたが、上からの眺めは最高だった。ちょうど夕陽がキレイで長時間待った甲斐はあったなと満足だった。その後、凱旋門に向かった。凱旋門の上に登ると、その意外と高いことに驚かされる。また景色は絶景である。凱旋門から放射状に大通りが何本も出ていて、そこを通行する連なった車のヘッドライトの白色とテールライトの赤色が対照的だった。その日のハイライトであった。このような最高の景色を現在提供する凱旋門は、ナポレオンの大きな業績の一つと言えるな。その日の最後に時間がまだあったので、ポンピドウーセンター内にある国立近代美術館に行ったが、ピカソの作品などもあったが、訳の分からぬ代物ばかりで正直つまらないと言える。晩飯はそこの近くにあるスパゲッティーのファーストフード店で食べた。

 

 

 

翌朝、エッフェル塔に登った。階段で登れば2階までしかいけないが3ユーロと安い。階段のスリルもあり、眺めの良さもあり楽しかった。その後は、ナポレオンの墓のあるアンバリッドに向かった。途中、喉がかなり渇いていたのでカフェに入った。よく分からずセットになったものを頼んだら、クロワッサンと泡立てたカフェオレと絞ったオレンジジュースが出てきた。これだけで7ユーロと高かったが、クロワッサンが無茶苦茶うまく、カフェオレも日本ではないような素晴らしい味だったので、それなりに満足できた。ちなみにカウンターで立って飲めばだいぶ安く飲めるようだと後からガイドブックを読んで分かった。ナポレオンの豪華な墓を見た後は、コンコルド広場の近くのオランジュリー美術館に行った。モネの「睡蓮」という有名な作品があったが、何がいいのかよく分からなかった。遠くから見たら確かにうまいなとはちょっと思ったが。その後、シテ島にあるステンドグラスで有名なサント・シャペルを訪れた。夕方で太陽光が直接ステンドグラスに当たってはいなかったが、それでも内部は宝石が光るように美しかった。夕暮れ時になっていたので、パリの町が一望と書いてあるサクレ・クール聖堂に向かった。ここでも夕陽がまたキレイだった。ずっと景色を見ていて寒くなったら、聖堂の中に入ってマッタリして、クリスマスイブをロマンチックに過ごすことができた。その日のハイライトであった。ちなみに近くでレストランを探しているとテルトル広場というところに出て、似顔絵描きが何人か並んで商売していた。そのなかで一人の女の子が描いてもらっていたのだが、すごくその子の似顔絵がうまかった。絵描きは挙動がちょっと変なオッサンだったが、絵は抜群だった。あまりにそっくりなので写真に収めたいという衝動がすごく湧き上がったが、描く方も描かれる方も真剣なのにフラッシュを浴びせると悪いと思って結局できなかった。夕食は初日と同じピザ屋で食べた。

 

 

次の日、ヴェルサイユに行った。クリスマスでほとんど全ての美術館が閉まっており、ヴェルサイユ宮殿もその例外ではなかったが、庭園が広くてキレイと書いてあったので、その庭園を見に行くことにした。朝、ヴェルサイユに向かう列車が遅れているのか、なかなか来なくて、駅のホームで非常に寒い思いをした。庭園は想像以上に良かった。細い散歩道があったり、噴水が至るところにあったり、古い家屋が残っていたり、牧場があったりして、長時間いても飽きることはなかった。とても寒かったが(噴水の池が10cmくらい凍っていて氷の上を歩くことができたりした)。パリ市内に帰ってきてからは、2つ教会を回った。クリスマスに教会とは乙なものだ。賛美歌が流れていたりしてちょっとした幸せを感じた。その後、エッフェル塔に登るつもりだったが、既に時間は夕食どきになっていたので、ノートルダム聖堂あたりでレストランを探すことにした。このあたりは観光地のためかレストランがたくさんあった。その中でも、おしゃれすぎず小ぎれいで人もそこそこ入っているレストランに入った。定食のMENU3種類のうちの真ん中の14ユーロというものを注文した。前菜がアボガドとエビ、メインディッシュが豚肉の煮付け、最後にデザートが出た。どれもたいへんおいしく、フランス最後の日にフランス料理を堪能することができて良かった。お腹がいっぱいになって気分良くなってセーヌ川沿いを散歩した後は、エッフェル塔に向かった。夜8時というのに行列がすごくて最上階の3階に上がるまでに1時間以上かかった。しかしそこからの眺めは最高だった。セーヌ川が見える方向と凱旋門の見える方向が一番きれいかなって私は思った。強風が吹きつけてきたが、感動のあまり寒さなどちっとも感じなかった。地上からはカメラのフラッシュがひっきりなしにこのエッフェル塔に浴びせられているのが分かった。このエッフェル塔はいったい今まで何回、カメラの被写体になってきたのだろうな。クリスマスの晩にエッフェル塔からパリの夜景を見渡す。これ以上ないというくらいのロマンチックさだ。いつか将来、今度は愛する人といっしょにまたここを訪れたいなと洒落たことを考えてしまった。

 

 

最終日、ローマへ移動しなければいけないので、朝しか時間はない。パリの最後はオルセー美術館だ。開館前から並んでいたが、開館時間になってもなかなか開かず、30分近く遅れて入場できた。オルセーは素晴らしい絵画が多数展示されていてじっくり見たかったが、時間がなかった。1時間半では少なすぎる。あと2時間くらい欲しかった。急いでホステルに戻ってスーツケースをピックアップしてシャルルドゴール空港に向かった。そして3時のフライトでパリを飛び立った。

 

 

パリには約3日半滞在したわけだが、ちょっとだけ少なかった。あと1日欲しかった。そうすればオルセーもじっくり見れたし、ルーブルの3階の絵画も見れただろうし、ヴェルサイユの宮殿も見れただろう。しかしパリは想像どおり、ロマンチックな町だった。新婚旅行には最適の場所としてぜひおすすめしたい。